令和3年度 地域連携・研究推進センター活動報告書第8号
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【結果及び考察】 1617種類の飲料を提示し、それぞれの飲む頻度を尋ねたところ、コーヒーと煎茶を飲む頻度と骨密度の関連について有意性が認められた。カフェインは腎臓のアデノシン受容体結1. 過去・現在の運動歴、運動習慣と骨密度の関連 運動の内容を問わず、週2回以上、1回の運動時間が30分以上、継続期間1年以上の運動をしていた人を「運動習慣あり」とすると、小・中学校・大学で運動習慣があった人の中で骨密度上位群はそれぞれ54%、51.4%、63.2%であり、運動習慣がなかった人では、上位群がそれぞれ35.7%、36.4%、43.0%であったのと比較すると有意差が認められた。高校においても運動習慣があった人の方が、骨密度が高い傾向があり、ある程度以上の運動を行うことが骨量獲得に影響を及ぼす要因の一つであることが分かった。また、今回の調査では、運 動をする人の割合は、小76.2%→中72.4%→高42.9%と学校段階が上がるにつれ減少しており、第ニ次性徴を迎える中高生時期に、運動部活動に入部していない人が個人的に心がけて運動することに課題があることが示された。 2.歩行と骨密度の関連 1日の歩数の平均(スマートフォンに搭載している歩数計の値)を尋ねた。なお、スマートフォンを持たないで歩いた歩数は、歩数計の値には反映されないため、1日の歩数の平均はあくまでも目安とした。今回の調査では歩数と骨密度に有意な関係は見られなかった。しかし、ウォーキングなどの骨に刺激が加わる運動は、骨粗鬆症を予防する運動として推奨されており、歩数は日常的に身体活動量を客観的に評価できる指標であるため、歩行は骨粗鬆症の予防として日常生活の運動に積極的に取り入れるのが望ましいと考える。 3.飲料・飲酒と骨密度の関連 合を遮断し、尿細管再吸収を阻害することで尿量を増加させ、カルシウム尿中排泄も増加させる作用がある。カフェインはコーヒーに60mg、煎茶に20mg含まれ、コーヒーや煎茶を飲む頻度が高い人は,骨密度が低いという結果が得られた。近年、カフェイン中毒などその危険性が問題視されているエナジードリンクについては、今回の対象者に飲んでいる人は少なく、有意な差は見られなかった。また、乳製品の摂取量と骨密度に有意な関連が見られた。また、牛乳や乳製品は骨粗鬆症の予防に必要なカルシウムが多く含まれているにも関わらず、今回の対象者の約半分が全く飲まないと回答しており、カルシウム不足も課題である。飲酒については、20歳以上では飲酒をする人の内、45.3%が骨密度上位群であり、飲酒をしない人(上位群33.3%)と比較して有意な差が認められた。また、飲酒頻度は1カ月あたり1~7日以下の方が、骨密度が高いという結果が得られた。今回の対象者には極端に多くアルコールを摂取するものがいなかったためか、アルコール量と骨密度に関連は見られなかった。今回の調査対象は平均年齢が21.2歳と飲酒歴が浅いため、長期的な飲酒の骨密度への影響については更なる研究が望まれる。

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