令和3年度 地域連携・研究推進センター活動報告書第8号
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4.骨粗鬆症についての認知・予防意識と骨密度の関連 17今回の調査では約90%が骨粗鬆症について「十分に理解している」「おおよそ理解している」、骨粗鬆症について知った時期・場面に関しては、約80%が「大学の授業」と回答した。今回の調査では、高校で骨粗鬆症について知ったと回答した人とそうでない人、テレビで知ったと回答した人とそうでない人の骨密度に有意差が見られ、骨粗鬆症についてできるだけ早い時期に学ぶことや、学習方法の工夫の重要性が示された。さらに、骨粗鬆症を予防するために意識すべきこととその実践状況について、「実践できている」「ある程度実践できている」と回答した人は「運動を意識すべき」と回答した人では40.0%、「カルシウムの摂取」と回答した人では43.8%と半分に満たなかった。このことから、予防すべき内容が理解できていても実践できていない人が多いことが明らかとなった。骨粗鬆症の予防にはどのようなものがあり、それをどうしたら実践していけるのか、子どもと一緒になって考えていく姿勢が教師には求められる。 【まとめ】 本調査研究では、最大骨量に達するとされる20歳前後の女子大学生を中心として、主に生活習慣と骨密度の関連について研究を行った。その結果、骨密度との関連が認められたのは、小中学校時の運動歴と小中学校大学時の運動習慣の有無である。しかし、どの学校段階においても、運動をしていない人より運動をしている人、運動習慣がない人より運動習慣がある人の方が、骨密度が高い傾向が見られたため、時期にこだわらず、生涯を通しての運動習慣の確立と継続が必要である。また、歩数と骨密度について有意な差は見られなかったものの、「健康づくりのための身体活動基準2013」では身体活動量の方向性を「今より10分長く歩く」とされている。これはバスを利用する際に最寄りのバス停から1つや2つ離れたバス停で乗降車したり、近所に買い物に行く際は歩いたりするなど無理なく達成できる範囲と考えられ、個人個人の意識の変化が求められる。飲料については、コーヒー・煎茶・ほうじ茶・ウーロン茶・乳製品を飲む頻度と骨密度の関連が認められた。カフェインの尿中へのカルシウム排出促進作用やカルシウム不足の現状を踏まえると、カフェインの多く含まれる飲料は控え、牛乳や乳製品を積極的に摂取していく指導を行っていく事が望ましい。さらに飲酒に関しては、1カ月当たりの飲酒日数と骨密度の関連が認められ、1カ月の飲酒日数は7日以下が望ましいことが分かった。骨粗鬆症の予防には若年期からの生活習慣が大きな影響を及ぼすことは確かであるが、骨粗鬆症の知識があっても、知識に基づく生活習慣改善意識の違いの差による影響も大きい。

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