学科紹介
⼭形県においては⾼齢化が進展し、総⼈⼝に占める65歳以上の割合を⽰す⾼齢化率は全国的にも⾼い⽔準にある。このため、健康⻑寿を延ばすことが本県の重要な課題であり、⽣活習慣病対策や⾷育の推進が強く望まれるところである。
課題解決のためには、栄養に関する専⾨的な知識と技術を有し、⾷を通し県⺠に栄養⾯からの⽀援を⾏う管理栄養⼠の役割は重要かつ不可⽋である。しかし、本学設⽴以前、多くの都道府県に管理栄養⼠の養成施設があるものの本県には設置されておらず、管理栄養⼠を志す県内の⾼校⽣が県外の養成施設で学ばざるを得ない状況にあるだけでなく、本県の⾷⽣活や、栄養と健康の特性に応じた管理栄養⼠の養成が⾏われていない状況にあった。
そこで、⼭形県では平成20年度以来、各検討段階に応じて有識者による検討組織を設置し検討を続け、平成23年3⽉には「新県⽴⼤学(管理栄養⼠養成課程)設置基本計画」を策定し、その中で、⼭形県⽴⽶沢⼥⼦短期⼤学健康栄養学科を改組し、管理栄養⼠の養成を⾏う4年制の公⽴⼤学を設置することとし、平成25年10⽉に設置認可を得て、平成26年4⽉に開学するに⾄った。
設置にあたり、特に考慮したのは、現代社会の変化に伴い多種多様なニーズや価値観が⽣まれ、⼈間関係や⽣活にも複雑な変化が⽣じる中、家族や地域社会もその様相を変え、本来備えるべき⼒が希薄化され、様々な課題が顕在化してきているが、この状況下において、諸課題を解決し家族、地域、社会に貢献できる⾼度な⼈材を世に送り出すことは、地域社会が要請する公⽴⼤学の責務・役割という点である。
⼭形県⽴⽶沢⼥⼦短期⼤学は、本学の前⾝となる健康栄養学科を含む4つの学科において教員免許(⼆種免許状)の取得が可能であり、これまでも多くの教員を養成し地域社会に貢献することで⾼い評価と信頼を得てきたが、本学はその実績に⽴脚し、さらに⾼次の⼀種免許状を取得することによって、より質の⾼い教員の輩出と地域貢献を⽬指すものである。
そこで、本学では、「教育研究上の理念」や「教育⽬標」を踏まえ、1学部1学科の極めて⼩規模な⼤学ではあるが、組織的な指導・調整機能を有する体制を整備して教員養成にあたることとした。
本学における教員養成においては、教員として求められる資質である、使命感、責任感、教育的愛情、社会性等に加え、児童や⽣徒に対する理解や指導⼒を深め、ひいては教員として必要な実践⼒全般を養成することを⼤学としての⽬標とし、さらに本学の教育⽬標を踏まえて、求める教員像を次のとおりとした。
栄養教諭は、栄養に関する専⾨性と教育に関する資質を併せ持ち、学校における⾷に関する指導や給⾷管理などの職務を遂⾏する。⾷に関する全体的な計画策定のもと、児童・⽣徒に対する教科・特別活動などにおける教育指導のほか、個別相談指導を⾏うカウンセラーとしての役割や、学校・家庭・地域の連携を推進するコーディネーターとしての役割など、栄養の専⾨家である管理栄養⼠として、また、教員として、児童・⽣徒に発達段階に応じた⾷⽣活に対する正しい理解と⾷習慣を⾝に付けさせることにより、現代社会が抱える健康に関わる課題を解決するための幅広い役割が期待されている。
その期待に応えるためには、栄養に関する⾼度な専⾨知識と専⾨技術を有するだけでなく、それらを児童・⽣徒にわかりやすく伝える技術とともに、学校内外の関係者とのコミュニケーション能⼒が重要な資質とされる。
そこで、本学健康栄養学部健康栄養学科の教員養成課程においては、児童⽣徒の健康教育や⾷育を担う使命感を醸成しながら、教職科⽬以外の科⽬も積極的に学び、幅広い⾒識のもと児童・⽣徒を理解しようとする姿勢、すなわち、優れた社会性・⼈間性を培うことが肝要であると考える。
以上のことから、次のような教員を養成することを⽬標とする。
本学では、健康栄養学部健康栄養学科に教職課程を置き、栄養教諭1種免許に対応した教員養成教育を、次のカリキュラム等に基づいて実施しています。
【栄養教諭1種免許取得の要件】
※⼊学年度により指定科⽬が異なります。
⼭形県⽴⽶沢栄養⼤学━健康栄養学部━健康栄養学科
┃
┗教職課程委員会━┳━学部⻑
┃
┣━教務学⽣委員会委員⻑
┃
┣━学科⻑
┃
┣━教職関連科⽬担当教員
┃
┗━教務学⽣課
栄養教諭1種免許取得には、卒業および管理栄養⼠国家試験受験資格・栄養⼠免許の取得が要件となることから、本学の教育にかかわるすべての教員(⾮常勤含む)が教員養成教員にあたることになる。以下では、このうち教育職員免許法別表第1および教育職員免許法施⾏規則第6条に規定される「教職に関する科⽬」の担当教員を紹介する。
職位 | 氏名 | 所属 | 担当科目 |
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教授 | 花屋 道子 | 本学 | 教育心理学,教育相談論,栄養教育実習,栄養教育実習事前事後指導,教職実践演習(栄養教諭) |
教授 | 安部 貴洋 | 本学 | 教職論,教育原理,栄養教育実習,栄養教育実習事前事後指導,教職実践演習(栄養教諭) |
非常勤講師 | 井間 眞理子 | 学校栄養教育論,学校栄養実践論 | |
非常勤講師 | 朝倉 充彦 | 東北福祉大学 | 教育課程・方法論 |
非常勤講師 | 石﨑 毅 | 山形県立米沢女子 短期大学 |
特別支援教育論 |
非常勤講師 | 安倍 啓司 | 道徳教育・特別活動・総合的な学習の時間指導論 | |
非常勤講師 | 足立 佳菜 | 佐賀大学 | 道徳教育・特別活動・総合的な学習の時間指導論 |
非常勤講師 | 沼山 博 | 宮城大学 | 道徳教育・特別活動・総合的な学習の時間指導論 |
非常勤講師 | 棚村 正 | 生徒指導論 | |
非常勤講師 | 下村 一彦 | 東北文教大学 | 教育制度論 |
非常勤講師 | 篠田 伸夫 | 福島大学 | ICT活用の理論と方法 |
取得免許 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
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栄養教諭⼀種 | 14名 | 12名 | 11名 | 8名 | 13名 |
取得免許 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
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栄養教諭 | 1名 | 0名 | 0名 | 0名 | 0名 |
本学では、教員養成教育の質を向上させる取り組みとして、単位認定の適正化を⾏うとともに、学校現場における体験活動・ボランティア活動等を推進しています。また、教職関連科⽬担当者を中⼼に、教職ゼミを開設し、教員としての適性や資質の向上のための機会を提供しています。
項⽬ | 時期 | 内容 |
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⼦ども⼤学 | 令和6年8⽉ | 飯豊町との共催で「いいで⼦ども⼤学」を2⽇間にわたり実施しました。⼩学⽣を対象とした諸活動、模擬授業、⼤学案内等を⾏い、普段とは異なる「学びの場」を提供しました。 |
2〜4年⽣それぞれにおいて開設しています(希望者のみ)。教育の本質や意義をはじめ、教育的⽴場を踏まえた児童・⽣徒理解、児童・⽣徒との実際的なかかわり、⾷育のあり⽅や実践例など、栄養教諭の適性と資質向上のための機会を幅広く提供しています。また、教員採⽤試験のための情報や試験対策など、教職指導の⼀翼も担っています。