教育研究上の理念及び目的
1.教育研究上の理念
管理栄養士は、命の基本である食を通した支援を人々に行う役割を担うことから、豊かな人間性と、その背景にある幅広く深い教養と知識を身に付けることが求められる。また、少子高齢化社会の到来や、人々の価値観の多様化などによる食を取り巻く環境の変化を受け、保健、医療、福祉、教育などの現場における栄養に関する業務は、高度化かつ複雑化が進んでおり、栄養に関する高度な専門知識と専門技術を有する必要がある。更に、食料自給の低下による食料輸入の増加や、これに伴う食の安全・安心に対する関心の高まりなど、食を取り巻く環境は国際化が進んでおり、国際的な視野を有することも求められる。
本学は、これらのニーズに対応した人材を育成すると共に、栄養に関する教育と研究の成果を通し、公立大学の重要な役割である地域と社会への貢献を行い、県民の健康で豊かな暮らしの実現に寄与するものとする。このため、本学の教育研究上の理念を「豊かな人間性と、幅広く深い教養と知識のうえに、栄養に関する高度な専門知識と専門技術を身に付けた国際的な視野を有する人材を育成し、教育と研究の成果に基づき地域と社会に貢献することにより、県民の健康で豊かな暮らしの実現に寄与する」と定める。
2.教育研究上の目的
(1)人材の養成
保健、医療、福祉、教育、企業、行政などの多様な場における活躍を通して、県民の健康で豊かな暮らしの実現に寄与できる管理栄養士を養成すると共に、県内の各界において食を通した健康づくりを担っていくことができるよう、広い視野を持ちながら、将来的に広く活躍できる人材を養成する。
このため、栄養に関する専門性を身に付けるほか、変化していく社会において、生涯学び続け、主体的に考える力を有する人材を養成する。
また、食育の推進の役割を担うため、本県の多彩な食材や豊かな食文化を健康づくりの実践に活用できる人材や、国際化が進んでいる食を取り巻く環境に対応できる国際的な視野を有する人材を養成する。
(2)地域と社会への貢献
本学の前身である県立米沢女子短期大学は、給食施設等における栄養管理に携わる栄養士を養成してきた。そして、栄養士の養成をとおし培ってきた人的資源と知的資源を活用し、栄養と健康に関し、公開講座の開催、県・地元市の各種委員会への委員の就任、県内の食品関連企業との共同研究などを行い、地域に根ざした短期大学として、地域と社会への貢献に努めてきた。
4年制大学である本学においては、栄養に関する高度な専門知識と専門技術を有し、本県の食生活や、栄養と健康の特性に応じた支援を行っていくことができる管理栄養士の養成を行うものである。短期大学から4年制大学になることにより、質と量の面において、教員組織や研究機能の強化が図られることから、県民全体の健康づくりを支援していくため、短期大学とは異なる観点により貢献活動を行うものである。
本学は、栄養と健康の研究に関するシンクタンク機能や、栄養に携わる者等に対する生涯学習の拠点機能を有することとしており、地域への理解を深め、地域とのかかわりを重視している。
具体的には、栄養と健康に関する教育と研究を通し、県の健康づくりに関する施策や事業に貢献するほか、県栄養士会等の関係団体と連携し、栄養に携わる者や関連の職種に従事する者に対し、生涯学び続けるための学習機会の提供や、公開講座やシンポジウムの開催による情報発信等を行うなどしながら貢献していく。これらの貢献を継続的かつ実効性を有しながら行うため、本学に「地域連携・研究推進センター」を設け、地域と社会への貢献を確実に実施していくものとする。